
弁護士 有田勝浩
ART法律事務所 代表弁護士
所属 :第一東京弁護士会
登録番号:第36433号
ART法律事務所は、SNS型投資詐欺の被害に遭われた方の救済を使命として、詐欺被害の撲滅に取り組んでおります。

弁護士 有田勝浩
ART法律事務所 代表弁護士
所属 :第一東京弁護士会
登録番号:第36433号
ART法律事務所は、SNS型投資詐欺の被害に遭われた方の救済を使命として、詐欺被害の撲滅に取り組んでおります。
「東京証券取引所」や「JPX」という名前が出てくる投資の話をLINEで持ちかけられ、案内されたアプリに入金したあと、出金だけが進まなくなっていませんか。
画面上の残高は増えているのに、担当者を名乗る人物から追加の送金を要求され、振込先には個人名義の口座を指定されたというご相談が当事務所にも多く寄せられています。
日本取引所グループの公式サイト(www.jpx.co.jp)を当事務所が確認したところ、同グループは個人と直接取引をせず、その名義で入金も求めないと公表していました。
個人と直接取引をせず、入金も求めないという点だけでも、東京証券取引所や日本取引所グループ(JPX)を騙る投資勧誘には詐欺の疑いが濃いと考えております。
本記事では、東京証券取引所と日本取引所グループの実際の業務を整理したうえで、勧誘のどこに無理があるのかを公表資料と突き合わせます。返金の見通しもあわせて取り上げます。
- 日本取引所グループは個人と直接取引をしていません
- 本人が申し込んだ有料サービスを除き、同グループ名義で個人に入金を求めることはありません
- 日本取引所グループが偽サイトのドメインを具体的に公表しています
- 銀行振込で送金していれば、口座凍結などの手段が残る場合があります
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東京証券取引所(JPX)とは|公表情報から分かること
はじめに、実在する東京証券取引所と日本取引所グループ(JPX)について、公表資料から分かることを整理します。
東京証券取引所は、株式などの売買が行われる市場を開設・運営する会社です。持株会社である株式会社日本取引所グループの傘下にあり、グループ自体も東証プライム市場に上場しています。
市場という「場」を用意する事業者であり、投資家一人ひとりの資金を預かって運用する事業者ではありません。
この違いが、後半の「詐欺が疑われる理由」で扱う勧誘の不自然さを判断するうえでの出発点になります。
東京証券取引所と日本取引所グループ(JPX)の関係
「JPX」は日本取引所グループの略称です。傘下には、次のような会社が並びます。
- 東京証券取引所(株式などの市場を運営)
- 大阪取引所(デリバティブ取引を担当)
- 東京商品取引所(原油や電力などエネルギーを扱う)
- JPX総研(市場データとシステムを担当)
- 日本取引所自主規制法人(売買の公正性を監視)
- 日本証券クリアリング機構(清算業務を担当)
いずれも市場インフラを担う会社であり、個人向けに資産運用のサービスを販売する会社は含まれていません。
勧誘のなかで「JPXの担当者」「東証の顧問」といった肩書が出てきても、市場を運営する会社の担当者が個人に投資を勧めることはありません。その時点で詐欺を疑ってください。
なお、東京証券取引所は金融商品取引法にもとづく免許を受けた金融商品取引所です。証券会社のように顧客口座を開設して売買を受け付ける立場とは、法律上の役割が異なります。
JPXが提供している正規のサイト・サービスの範囲
日本取引所グループは、グループ各社が運営するウェブサイトをJPX提供サイト一覧として公開しています。何が正規なのかを利用者が確かめられるようにするためのページです。
掲載されているサイトは、大きく3つの系統に分かれます。
| 系統 | 掲載されている主なサイト |
|---|---|
| グループ会社・関連団体 | 証券コード協議会、堂島米市場、日本証券クリアリング機構 ほか |
| 金融経済教育・商品紹介 | 東証マネ部!、北浜投資塾、なるほど!東証経済教育 ほか |
| 情報サービス | J-Quants、JPXデータポータル、JPX-LEI ほか |
いずれも市場の運営や情報提供、学習のためのサイトです。利用者から資金を預かって運用する種類のサービスは、この一覧に1件も含まれていません。
正規サイトの入口は www.jpx.co.jp です。
案内されたアプリやサイトがこの一覧にない場合、日本取引所グループとは別の者が運営していると考えてください。
東京証券取引所(JPX)を騙る投資勧誘で詐欺が疑われる理由
ここからは、東京証券取引所や日本取引所グループ(JPX)の名前を持ち出した勧誘のどこに無理があるのかを、4つに分けて整理します。
いずれも、日本取引所グループが公表している内容をもとにしています。
同グループは公式サイトに注意喚起のページを設け、グループ各社や役職員を装った偽のサイト・アプリ、メールやSNSのメッセージが見つかっていると明らかにしています。
そのうえで、こうしたものとグループは無関係だと述べています。

つまり「JPXの名前が出ている」ことは、正規のサービスである根拠にはなりません。
むしろ、名前を悪用されやすいからこそ、日本取引所グループは繰り返し注意を呼びかけています。
理由1|JPXは個人向けに取引サービスを提供していない
日本取引所グループは2023年6月8日付のお知らせで、JPXという商標を使った複数のアプリやウェブサイトの存在を指摘しました。
これらのアプリやサイトは、株式・商品・暗号資産などの取引サービスを提供しているとみられる、という内容です。
そのうえで同グループは、自らが個人に対して取引のサービスを直接提供する立場にはないと述べ、これらとの関係を否定しています。
「JPXの公式アプリで運用してもらえる」という説明は、JPXが個人に取引サービスを提供していないという一点だけで前提が崩れます。
市場を開設・運営する会社は、個人から資金を預かって増やす業務を担っていないためです。
表示上の増加を理由に追加の送金を求められても、送金しないでください。
理由2|JPXの名義で個人に入金を求める運用がない
同グループは、グループ各社の社名を名乗った振込詐欺が確認されていることも公表しています。
そこには本人が申し込んだ有料の情報サービスなどを除き、個人に対して振込を求めることはない、と明記されている点が重要です。
送金先が法人名義でも個人名義でも、JPXの名義で入金を指示された時点で、公表されている運用と食い違います。
- 取引所の名義で、個人に入金が指示されます
- 本人が申し込んでいない支払いを求められます
実際に、「機密性の高いプロジェクトだから表に出せない」と説明され、指定口座への振込を要求されたというご相談も寄せられています。
どのような名目で説明されても、公表内容と矛盾することに変わりはありません。
理由3|日本取引所グループが偽サイトのドメインを具体的に公表している
2023年6月8日付のお知らせでは、グループが提供したものではないアプリ・サイトとして、具体的なドメインまで列挙されています。お知らせに記載されたドメインの例は次のとおりです。
- JPXVIP.com
- tocom-ex.cfd
- JPXtradefx.com
- usaajpx.com
並べてみると、いずれも「jpx」や「tocom」という文字列を含んでいます。名称にJPXが入っているかどうかは、正規かどうかの判断材料になりません。
確認は公式サイト(www.jpx.co.jp)から始めてください。
これらのドメインは公表からすでに年数が経っており、現在も同じものが使われているとは限りません。案内されたURLは、その都度JPX提供サイト一覧と照らし合わせて確かめてください。
理由4|勧誘の入口がLINEやSNSであること
同グループは2023年5月25日付のお知らせでも、役職員や関係者を装ってLINEのグループへ誘い込む事案が確認されたと公表しています。
同じお知らせには、実際に使われた勧誘文の型も紹介されています。
- 著名な講師のアシスタントだと名乗ります
- 投資経験を共有する場だとしてグループへ招きます
- 重要な連絡があるとしてLINE IDの追加を促します
取引所やその関係者が、面識のない個人にSNSで直接投資を持ちかけることは、業務の性質上ありません。
入口がLINEやX、マッチングアプリだった場合は、名乗る組織名がどこであっても送金しないでください。
日本取引所グループは、社名や住所を騙った電話勧誘の業者についても、グループのビル内に存在せず関係もないと明言しています。
- 実在する金融機関の名称を使った偽広告
- 広告からLINEのグループへ誘導する流れ
- 指定口座への入金を要求する手口
上記は金融庁や日本証券業協会が公表している一般的な手口です。
東京証券取引所(JPX)を騙るケースの独自調査
当事務所では、ご相談を受けるにあたって、公表資料と照らして何がどこまで確かめられるのかを整理しています。
本件で行ったのは正規サービスの範囲との突合、ドメインの見分け方の検証、そして登録の有無の確認です。
- 正規サービスの一覧に該当があるか
- 正規サイトのドメインとの見分け方
- 金融庁の登録および警告の有無
勧誘に使われたアプリやサイトの運営者は、公開情報だけでは特定できませんでした。
返金請求では、いつ・誰の・どの口座へ送金したのかを特定できるかどうかが結果を大きく左右します。
運営主体を追えない場合、まず請求の相手方を確定する作業から始めなければなりません。
正規サービスの一覧との照合方法
まずは、案内されたアプリ名やサービス名を、前半で挙げたJPX提供サイト一覧と照らし合わせてください。
ただし、一覧に載っている名称なら安全、とも言い切れません。
日本取引所グループは2025年2月17日付のお知らせで、JPX総研が手がける「J-Quants」というデータ配信について注意喚起を出しました。
J-Quantsとの関連を装うサイトやSNSアカウント、それらを使った投資詐欺が確認されたという内容です。
照合するときは、次の3つをそろえて確かめてください。
- サービスの名称
- 提供元となる会社名
- 案内されたURL
正規のサービス名そのものが看板として使われる場合があり、名称の一致だけでは判断がつきません。
ドメインだけでは判断できない|正規にも別ドメインがある
偽サイトを見分ける方法として、URLの確認はよく挙げられます。ただ、日本取引所グループの場合は「jpx.co.jp でなければ偽物」という単純な線引きが通用しません。
公表されている一覧のなかにも、別のドメインで運営されている正規サイトが含まれているためです。
| サイト名 | ドメイン |
|---|---|
| 東証マネ部!(金融経済教育) | money-bu-jpx.com |
| J-Quants(データ配信) | jpx-jquants.com |
見るべきはドメインの文字列ではなく、公式サイトからリンクをたどって到達できるかどうかです。検索結果や広告、メッセージ内のリンクから入ると、この確認そのものを飛ばしてしまいます。
金融商品取引業の登録と無登録業者一覧の確認
金融庁は免許・許可・登録等を受けている事業者一覧を公開しています。証券会社などが登録を受けているかどうかは、ここで確かめられる仕組みです。
東京証券取引所そのものは、免許を受けて市場を運営する立場だと確認できました。
一方、勧誘に使われたアプリやその運営者は、名称を特定できないため照合そのものが行えません。
あわせて無登録で金融商品取引業を行う者の名称等についても確認しました。この一覧は令和8年7月22日に更新されています。
- 免許・許可・登録等を受けている事業者一覧
- 無登録業者の名称等に関する公表資料
- 日本取引所グループのJPX提供サイト一覧
ただし、無登録業者の一覧に載っていないからといって、ただちに安全とは限りません。
登録の有無と、詐欺にあたるかどうかは、別の問題として切り分けて考える必要があります。
逆に、登録がある業者だから安心という判断も成り立ちません。
東京証券取引所(JPX)を騙るケースで残しておきたい証拠
返金に向けて動くとき、最初の関門は「誰に、いくら渡したのか」を示せるかどうかです。
本件のように運営者を公開情報から追えない案件では、手元の記録がそのまま相手方をたどる材料になります。
とくにアプリは、運営側がサービスを止めると画面を開けなくなる場合があります。まだ表示できるうちに、残高や履歴を撮っておいてください。
- 「JPX」等が表示されたアプリの画面全体
- アプリの入手先として案内されたURL
- 勧誘者のLINE表示名・ID・プロフィール
- 振込先の口座番号と名義、振込明細
- 送金名目を説明したメッセージのやり取り
スクリーンショットは、日時が写る形で端末に保存してください。トーク履歴は、途中だけを切り取らず前後を含めて残すと経緯が伝わります。
アカウントを削除したり、相手をブロックしたりすると、記録ごと消えてしまう場合があります。腹立たしい相手でも、証拠の保全が先です。
証拠が手元にあるうちに、公式LINEで状況をお聞かせください
返金の見通し|送金手段によって道筋が分かれます
「取り戻せるかどうか」は、何をどう送ったかで大きく変わります。同じ被害額でも、銀行振込と暗号資産では取れる手段が大きく異なるためです。
本件で当事務所に寄せられているご相談は、指定口座への振込によるものが中心です。
銀行を経由していれば、口座を止めるという入口がまだ残っています。
以下では、それぞれの場合に何ができて、何が難しいのかを説明します。
銀行振込で送金していた場合
金融機関に対して事情を伝え、詐欺に使われた疑いがあるとして口座の凍結を求める方法があります。根拠となるのが振り込め詐欺救済法です。
凍結された口座に残高があれば、被害者からの申請にもとづいて被害回復分配金が支払われる仕組みが用意されています。
また、当事務所では弁護士会照会制度を利用して、所属弁護士会を通じて送金先の口座情報を金融機関に照会できます。口座の名義人が分かれば、そこから相手方の手がかりを得られる場合もあります。
| できること | 口座凍結の申出/照会による名義の確認 |
|---|---|
| 難しいこと | 残高が引き出された後の分配/海外口座へ送金していた場合の回収 |
ただし、凍結までに口座から資金が引き出されていれば、分配を受けられません。
被害回復が保証されるわけではなく、時間がたつほど見込みは下がります。送金から日が浅いほど、残高が残っている可能性も高いといえるでしょう。
暗号資産で送金していた場合
ウォレット宛に暗号資産を送った場合、銀行口座を止めるという手段そのものが使えません。金融機関を経由していないためです。
送金先アドレスから移転の経路をたどること自体は可能ですが、最終的に誰が管理しているのかを確かめるには、海外の交換業者の協力が欠かせません。
| 使えない手段 | 金融機関に対する口座凍結の申出 |
|---|---|
| 必要になるもの | 海外の交換業者による名義情報の開示 |
当事務所では暗号資産による送金のみのご相談については、回収の見込みが立ちにくいため、お力になれない場合がございます。
一方、銀行振込と暗号資産の両方で送っている場合は、振込の部分を対象としてご相談をお受けできます。まずは送金の内訳をお知らせください。
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返金をうたう業者にはご注意ください
出金できない状態が続くと、「回収できます」と持ちかけてくる相手が現れることがあります。
勧誘の入口がLINEやSNSだったため、同じ経路から返金をうたう連絡が届くことがあります。被害を知っている相手からの申し出ほど、慎重に扱ってください。
報酬を受け取って返金の交渉を代理できるのは、原則として弁護士に限られます。弁護士法72条が、資格のない者による法律事務の取扱いを禁じているためです。
依頼を検討する際は、費用と方針を弁護士本人に直接確かめてください。所属や登録番号は日本弁護士連合会の弁護士検索から照合できます。
東京証券取引所(JPX)に関するよくあるご質問
ご相談のなかで実際に多い疑問について、公表資料と照らしながらお答えします。
- LINEで「JPXの先生のアシスタント」と名乗る人から連絡が来ました。本当に職員でしょうか。
-
日本取引所グループは2023年5月25日付のお知らせで、社員や関係者になりすましてLINEのグループへ勧誘する事案を公表し、注意を呼びかけています。このお知らせには、講師のアシスタントを名乗る文面も例として載っています。
名乗りだけで判断せず、公式サイトの問い合わせ先から確かめてください。
- アプリの画面では資産が増えています。実際に運用されているのではないですか。
-
画面の数字は運営側が表示しているもので、市場で売買が成立した証明にはなりません。
日本取引所グループは、個人に取引のサービスを直接提供する立場にないと公表しています。増加を理由に追加の送金を求められても、送金しないでください。
- 振込先が個人名義の口座でした。東京証券取引所の指示だと説明されましたが、そうした運用はありますか。
-
日本取引所グループは、利用者自身が申し込んだ有料サービスの分を除いて、個人に振込を求めることはないと公表しています。
取引所を名乗る入金の指示があった時点で、公表内容とは矛盾します。振込明細と指示のメッセージを残してご相談ください。
- 「機密性の高いプロジェクトなので公表できない」と言われました。そういう取引はあるのですか。
-
取引所が非公表を条件に、個人から資金を預かる取引を持ちかけることはありません。
秘密保持を理由に確認を避けさせる説明そのものが、詐欺を疑う材料になります。どのような名目であっても、公表内容との矛盾は変わりません。
- 案内されたURLがjpx.co.jpではありませんでした。東証マネ部!も別ドメインだと聞きますが、どう見分けますか。
-
正規サイトにも別ドメインのものがあるため、ドメインの文字列だけでは判断できません。
公式サイトのJPX提供サイト一覧からリンクをたどり、案内されたページにたどり着けるかどうかで確かめてください。送られてきたリンクから直接開くと、この手順を飛ばすことになります。
ご相談の流れ・費用について
当事務所へのご相談は無料です。
まずは公式LINEまたはお電話で、送金の時期・金額・送金先の名義と、勧誘のやり取りをお知らせください。事実関係を整理したうえで、取り得る手段をご説明します。
- 勧誘を受けた経路(LINE・X・紹介など)
- 送金の日付と金額、送金の回数
- 送金先の名義が個人か法人か
- 暗号資産での送金が含まれるか
- 手元に残っている画面や明細の有無
ご依頼をいただく場合の着手金と報酬金は、事前にご説明したうえで書面で確認します。内容にご納得いただけない限り、費用は発生しません。
回収の見込みが立ちにくい事案では、その旨を正直にお伝えします。見通しの乏しい依頼を無理にお受けすることはありません。
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※本記事の記載内容は2026年8月の法令・情報に基づいたものであり、個別の事案に対する成果を保証するものではありません。詳しくは当事務所の免責事項をご確認ください。



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